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泌尿器講座

前立腺がん

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 歌手で俳優の西郷輝彦さんが20日、75歳という若さで亡くなりました。死因は前立腺がんと伝えられています。

男性のがんで1位!

 実は、男性のがんで最も多いのが前立腺がんです。2018年は9万2000人にのぼり、生涯で男性の9人に1人程度が罹患するとされます。
 ただ肺がんや胃がんと比べて生存率は高く、前立腺がんと診断されてもステージ1と2なら100%、ステージ3でも98.5%です。
 ただ他の臓器や骨に転移を認めるステージ4では10年の相対生存率は45%とぐっと下がり、悪性度の高い前立腺がんでは長期生存が難しいことに留意する必要があります。

早期発見・早期治療を

 他のがんと同様、前立腺がんと正しく向き合うには早期発見・早期治療が大切です。早期の前立腺がんに適切な治療を施せば、前立腺がんが寿命を決めることはほとんどありません。
 ただ厄介なことに、初期の前立腺がんは自覚症状がないことが多く、かなり進行しないとがんに気づきにくいという問題があります。
 このため有効なのが採血によるPSA(前立腺特異抗原)検査です。

有効なPSA検査

 前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAはがんの病勢を表します。数値は4以下が正常とされますが、50~64歳は3以下、65~69歳は3.5以下とする基準もあります。
 特に悪性度の高い前立腺がんの場合は成長ペースが早く、成長に伴ってより多くのPSAを作るようになります。このため1年前に4だった数値が翌年の検査で10を超えていたということも珍しくありません。

50歳を過ぎれば

 繰り返しになりますが、早期発見・早期治療につなげるためにも、50歳を過ぎた男性は年1回のPSA検査を受けるようにしましょう。

いしい腎泌尿器科クリニック 院長

石井 達矢(いしい たつや)

1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医・指導医。日本医師会認定産業医。

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