山形コミュニティ新聞WEB版

泌尿器講座

膀胱がん(中)

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 今回は膀胱(ぼうこう)がんの検査について解説します。

最初はがんの有無を

 血尿があって膀胱がんが疑われる場合、膀胱に尿がたまっている状態で、かつ1センチ程度の腫瘍なら超音波検査でも見つけることができます。ただ超音波検査で見つけた腫瘍が本当にがんかどうかは膀胱鏡検査(膀胱ファイバースコピー)による確認が必要になります。
 がんが見つかった場合、がんの進行具合やリンパ節や他の臓器への転移の有無を調べるため、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像法)などの画像診断を行います。

がんならTURBT

 次にがん組織と根っこの深さを調べるため、治療も兼ねた「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」を行います。これは下半身麻酔または全身麻酔のもとで尿道から膀胱に内視鏡を挿入してがんを切除する手術です。
 切除したがん組織を顕微鏡で調べることで、がん組織の性質や深達度など正確な病理診断が可能になります。ここでの結果と画像診断の結果から、がんのステージが決定します。
 TURBTは手術ですが、所要時間は1~2時間で、開腹手術ではないため身体にかかる負担は少ないとされています。

ステージ0~I

 ステージですが、リンパ節転移や他臓器への転移がなく、がんの根っこが上皮内か上皮下結合組織まで浸潤していなければステージ0、粘膜下結合組織まで浸潤している場合はステージⅠです。

ステージII~IV

 根っこが筋肉の層に到達していればステージII、膀胱の外の脂肪組織まで進行していればステージⅢ、前立腺や精嚢、子宮、膣、骨盤壁、腹壁のいずれかに浸潤していたり、リンパ節や他臓器への転移があるとステージIVになります。
      ◇
 次回は膀胱がんの治療についてお話しします。

いしい腎泌尿器科クリニック 院長

石井 達矢(いしい たつや)

1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医・指導医。日本医師会認定産業医。

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