片頭痛の現状
片頭痛は10歳代~40歳代に多い症状で、世界保健機関(WHO)の報告では、「仕事や日常生活に支障をきたす疾患」として腰痛に次ぐ2位に位置づけられています。
欧米との認識の差
今年5月の日本神経学会で報告された研究結果では、①片頭痛患者の6人に1人は週2日以上症状がある②患者の約60%は頭痛の専門医ではなく、かかりつけ医・内科を受診している③患者の約42%は病院を受診していない――などが明らかになりました。
片頭痛は欧米では「仕事を休む疾患」と認識されていますが、日本ではまだセルフメディケーションで対応している人が多いのが現状です。
浸透していない治療
また、片頭痛発作が起こった時に屯用薬である「トリプタン製剤」を使用している人は15%に過ぎないほか、予防治療薬の対象となる人は29%で、実際に予防治療薬を使っている人は4.2%という結果でした。
つまり、適切な予防治療が浸透していないということですね。
患者のジレンマ
ここで頭痛患者会のある会員の声を紹介しましょう。
「片頭痛に苦しむようになって30年あまり。片頭痛は世間の人に理解されにくく、痛みがあっても辛いと言えず我慢をする日々でした。人知れず片頭痛に苦しんでいる人たちを理解し、優しい言葉をかける――そんな社会になって欲しい」
専門医に相談を
片頭痛の症状には個人差があり、また同じ人でも仕事や出産などのライフイベントを契機に変化していくのが特徴です。
予防療法を含め適切な対策を行い、慢性化を予防することが大切です。国内では今年から注射タイプの予防薬も解禁されました。
快適な日常を送るためにも、専門医と相談しながら片頭痛に向き合っていきましょう。
TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。