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薬剤の使用過多による頭痛

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 頭痛の種類として「片頭痛」や「緊張性頭痛」は広く知られていますが、3番目に多い頭痛をご存知でしょうか? それは「薬剤の使用過多による頭痛」です。

頭痛薬を飲みすぎると

 この頭痛は、もともと片頭痛や緊張型頭痛などに悩む患者さんが鎮痛剤を飲み過ぎることにより、かえって毎日のように頭痛が生じる状態を指します。頭痛以外、例えば腰痛などで鎮痛剤を飲み過ぎてもこの頭痛が起きることがあるので要注意です。
 実際、当院の頭痛外来を受診される5人に1人はこの頭痛です。

具体的な症状は

 この頭痛の症状は①月に15日以上頭痛がある②朝起きた時から頭痛がする③締め付けられるような痛みやズキズキする痛みがする④以前に比べ薬が効かなくなってきた⑤頭痛への不安から薬が手放せなくなった――などです。

予防療法が有効

 この頭痛の治療にはこれまでに様々な方法が模索されてきましたが、デンマークでの検証の結果、原因薬剤の中止と予防薬の投与の2つを組み合わせる方法が最も治癒効果が高いことが分かりました。適切な予防療法があることが改めて明らかになったわけです。   

生活に支障も

 ひところに比べ、「頭痛=病気」であることは徐々に認識されるようになってきましたが、適切な治療を受けている人や、正しい対処法を知っている人は残念ながらまだまだ少数です。
 頭痛は目には見えない病気です。特に薬剤使用過多による頭痛は難治性とされ、働き盛りの人や子育て年代には生活に支障をきたすケースが多いのが実情です。

専門医に相談を

 この頭痛は適切な治療で痛みを軽減することが可能ですので、お悩みの方は一度専門医に相談することをお勧めします。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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