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梅雨と頭痛

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 間もなく梅雨の季節ですが、「雨が降ると頭が痛くなる」と訴える患者さんがいます。果たして雨と頭痛には因果関係があるのでしょうか?

多い気象病

 実際、片頭痛患者の50%は天候の変化によって症状が現れるという報告や、気温や気圧の変化によって頭痛患者の救急外来への受診率が変わるという報告はあります。
 天候の変化などで起きる頭痛などは、正式な病名ではありませんが「気象病」「天気病」「天気頭痛」などと呼ばれます。こうした病気に悩む人は全国で1000万人以上いるとされます。

自律神経の乱れが原因

気圧の変化で脳の視床下部を通じて交感神経活動が活発になると、ノルアドレナリンという物質が血中に放出され、痛みを感じる神経を刺激します。普通の状態では気圧が下がって痛みを伝える神経が刺激されたとしても、痛みを感じることはほとんどありません。
 一方、片頭痛の患者さんなどでは、あらかじめ神経が傷ついて炎症などが存在するため、正常時では認められない交感神経に反応する回路が新たに出現するため、気圧の変化で痛みを感じるようになっています。

雨の日、低気圧が多く

 さて、本題である雨と頭痛との因果関係ですが、雨の日は一般に気圧が下がることが知られています。
 ちなみに、気象庁が発表したデータによれば、大雨強風警報が出ていた2019年5月21日の東京の気圧は約1000ヘクトパスカルで、曇りだった前日は約1013ヘクトパスカルでした。
 雨と頭痛との直接の因果関係については不明な点はありますが、様々な報告から、雨を“媒介”にして低気圧が頭痛を生じさせている可能性はあります。
 自分の頭痛が雨の前後なのか雨当日なのかを把握できれば、それによって予防薬を飲んで備える選択肢もあります

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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