山形コミュニティ新聞WEB版

内科あれこれ

医学とノーベル賞

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 今月初めに認知症の新薬が米で承認され、大きな話題を呼びました。私も「これはノーベル賞級の開発だ!」と大興奮してしまいました。
 ということで今回は、私が医学生になってからノーベル賞を受賞した医学に関わる発明、発見、技術で現在の医療現場でも活躍しているものをご紹介しましょう。

CTスキャンとMRI

 まずは1979年の「CTスキャン」。2003年の「磁気共鳴画像装置(MRI)」と併せCT/MRI検査は今では一般化しています。
 私が医師になりたての頃は頭部のCTが出てきたばかりで、身体のCTはまだまだ精度が低かった記憶があります。現在はMRIを含め撮影法や造影剤も多種多様で、隔世の感があります。

コレステロール代謝

 1985年には米国の研究者による「コレステロール代謝」が受賞していますが、受賞のきっかけとなった“スタチン”という薬は実は日本で最初に開発されました。
 ただ副作用が強かったため日本では製品化には至らず、より副作用の少ないスタチンが米国で製品化されました。開発だけでなく、効能を解明したことも受賞の理由ですが、残念なことです。

ピロリ菌

 2005年には「ピロリ菌」が受賞していますが、最初にピロリ菌が発見されたのは1980年代の初め。受賞は除菌が胃がんの予防に有効であることが確認された20年以上たってから。「C型肝炎」も発見から30年が過ぎた2020年に受賞しています。

社会的な評価が必要

 優れた研究は独創的な発想をもとに度重なる実験を経て生み出されるものですが、社会的に評価されることも受賞のポイントのようです。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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