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内科あれこれ

花粉症の免疫療法

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 スギ花粉の飛散はピークを過ぎましたが、来年以降に備え、この時期から始める花粉症対策が「舌下免疫療法」です。

抵抗力を身につける

 この療法の原理は、アレルギーのもとになる物質を徐々に体に投与し、それに対する抵抗力をつけるというものです。登場したのは40年以上前ですが、当初はスギ花粉の抽出物を皮下に注射するやり方が主流で、痛みも伴うため一般にはあまり普及しませんでした。


 それが2014年、抽出物を水薬として舌下に投与する薬剤が開発され、舌下免疫療法が始まりました。現在では錠剤となったため室温保存も可能になり、さらに普及が進んでいます。

メリットとデメリット

 この療法のメリットは、スギ花粉に対する過剰な反応(アレルギー)を同じ免疫の働きで抑えることから、根本的な治療になる点です。一般に行われる抗アレルギー薬と違い、その時だけでなく長年効果が続くことが期待されます。


 デメリットは、治療を長期間行う必要があることで、花粉の飛ばない季節から最低でも3年はかかるところでしょうか。

有名歌手も実践

 それでも3年前に治療を開始して今年、晴れて“卒業”となった患者さんに聞いてみたところ、ほとんどの方が症状が改善したとおっしゃっていました。


 また先日、車でラジオを聞いていると、有名な女性歌手がこの療法で症状が和らいだという話をされていました。

検討してみては

 この治療はほとんどの耳鼻科の医院で導入されているはずで、内科でも受けられるところが増えています。毎年のように花粉症に悩まされている方は、一度ご検討してみてはいかがでしょうか。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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