内科あれこれ
胃食道逆流症
今回は胃食道逆流症について、医者向けの「診療ガイドライン」に沿ってご説明しましょう。
日本人の10%が罹患
胃食道逆流症は、胸やけと呑酸(酸を含む胃液が口内に逆流すること)を伴い、日本人の10%がこの疾患にかかっているとされます。胃カメラで見て、食道と胃の境界部分に炎症がある「逆流性食道炎」と、炎症がない「非びらん性胃食道逆流症」に分けられます。
原因は胃酸分泌の増加
胃食道逆流症が増加してきた背景には、食生活の欧米化やピロリ菌の除去が進んだことで日本人の胃酸分泌が増えていることが考えられます。また脂肪の過剰摂取、過食、肥満、ストレスなども誘発要因とされます。
治療の基本は薬物投与
治療は初めに胃酸を抑える薬を投与し、効果があればそれで済むこともあります。効果がなければ胃カメラを使います。
胃酸を抑える薬は逆流性食道炎には有効ですが、非びらん性胃食道逆流症は無効の場合もあります。この場合は胃に停滞した食物の逆流が影響していることが多く、胃の動きをよくする薬を処方します。
中には逆流そのものがなく、食道粘膜の知覚過敏によって症状が起こってくる場合もあります。その場合は粘膜を保護するような薬が有効なこともあります。
薬物療法以外に生活環境の改善も有効です。暴飲暴食を避け、適度な運動やストレスの軽減で症状が緩和されることが分かっています。
一度は胃カメラを
胸やけの症状は人によって異なり、つかえるような感じなら食道がんなども心配になります。薬で症状が改善しない場合は一度は胃カメラを受けてみませんか?
きくち内科医院 院長
菊地 義文(きくち よしふみ)
1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。