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内科あれこれ

胃がん検診の結果

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 胃がんの検査には胃エックス線(胃透視)検査と胃内視鏡検査(胃カメラ)がありますが、今回は胃透視検査の注意点についてお話しします。

「精検不要」でも

 胃透視検査では、がんが疑われる所見があれば2次検査(精密検査)として胃カメラに誘導されるので問題はありませんが、難しいのは「慢性胃炎(精検不要)」の判定があった場合です。
 この判定には別欄で「あなたはピロリ菌に感染している可能性が強く、かかりつけ医などに相談してください」などの文言がついていますが、そこまで読まない方が多く、「精検不要」だけを見て安心してしまい、検査を受けていない方々が散見されます。

慢性胃炎から胃がんに

 そんな方々は、コレステロールなど他の項目で医療機関を受診し、そこで慢性胃炎であることを改めて指摘されるケースが多いようです。
 大半の医療機関ではそんな方々に対し、慢性胃炎は胃がんの原因になりうること、慢性胃炎がピロリ菌によっておこること、ピロリ菌を除く(除菌)によって胃がんになりにくくなることなどを説明し、胃カメラに誘導しています。

周りくどい誘導

 こうした状況の背景には、現在、ピロリ菌の感染率が急速に低下していることが挙げられます。かつては大部分の方がピロリ菌に感染して慢性胃炎にかかっていましたが、除菌の普及によりピロリ感染は減少、慢性胃炎の患者さんも減っています。
 また慢性胃炎が必ずしも胃がんにつながるわけではないため、こうしたやや回りくどい誘導の仕方になっているのです。

見直してみましょう

 胃透視検査を受けられた方は、ご自身の結果を見直してみましょう。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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