山形コミュニティ新聞WEB版

内科あれこれ

消化器のがん

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 今回は消化器のがんについて考えてみます。

1位は胃がん

 消化器のがんの中で1番多いのは胃がんです。ただ胃がんの原因の多くがピロリ菌感染です。ピロリ菌感染は小児期に起きますが、上下水道の普及で感染者数は激減しています。現在60歳以上の人の6~7割が感染していますが、40歳以下の人は1割程度です。また慢性胃炎の段階での除菌が普及し、胃がんになる人は減ってきています。
 さらに内視鏡の進歩で早期発見が可能になり、検診さえ受けていれば治る段階で見つかります。

転移少ない大腸がん

 大腸がんも同様です。大腸がんはかなり大きくなっても比較的転移が起きにくいほか、抗がん剤の進歩で見えていなかった転移をなくしてしまうことが可能に。ステージの進んだがんでも抗がん剤治療により再発が抑えられるようになってきました。定期的に検診を受けていれば手遅れになることはないでしょう。

減少傾向の肝臓がん

 肝臓がんはB型肝炎とC型肝炎が治る病気になり、感染そのものが減っています。今後も減少が予想されますが、最近は脂肪肝からの発がんが増えており、アルコール性のものも含めて増加が心配されます。

難しいのはすい臓がん

 難しいのはすい臓がんです。罹患数は2019年で約3万6000人で、20年前の約2万と比べると56%もの増加です。しかもこの間、病気発見5年後の生存率が8~9%と全く向上していません。有効な検診の手立てがなくここ20年ほとんど進歩していないのが現状です。

待たれる新手法

 何か全く新しい手法が確立されない限り、現状打破は難しそうです。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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