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脂肪肝について

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 脂肪肝といえばアルコールの飲みすぎが原因と思われがちですが、最近は飲まないのに脂肪肝と診断される人が増えています。

酒は飲まないのに…

 飲酒しなくても生じてしまう脂肪肝は「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD=ナッフルディー)」と呼ばれ、その原因の多くは過食と運動不足です。
 私たちが食べたものは小腸で吸収され、門脈という特別な血管で肝臓に運ばれます。肝臓では余った脂肪や糖分を中性脂肪として肝臓の細胞の中に蓄えますが、その量が多すぎたり、運動不足などで消費するエネルギーが減ると中性脂肪が肝臓に溜まってしまい、脂肪肝に至ります。

肝硬変や肝がんにも

 その状態から高コレステロール血症や糖尿病が合併してさらに悪化すると、「非アルコール性脂肪肝炎(NASH=ナッシュ)」と呼ばれる状態になってしまいます。
 NAFLDでとどまっているうちはさほど心配はありませんが、NASHになると肝細胞の破壊と再生が繰り返される結果、肝臓に繊維組織が現れ小さく硬い肝臓になります。この状態が肝硬変です。
 肝硬変になると機能低下による肝性脳症などの症状が現れることがあります。また再生を繰り返すうちに、肝がんが発生することがあるので注意が必要です。

過食を控え運動を

 今のところ脂肪肝から肝臓がんに至る確率はさほど多くはありませんが、ここ10年ほどで数倍に増えているとの報告もあります。健康診断で肝機能の異常を指摘されたら、過食を避け、適度な運動を心がけましょう。

医療機関に相談を

 不安な方は、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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