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内科あれこれ

尿酸の話

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 毎年暑くなると痛風の症状を訴える人が多くなります。痛風の原因が尿酸であることはご存知の方も多いでしょう。

痛風の原因に

 痛風は、血液中で尿酸の結晶が関節の中に付着し、これが剥がれ落ちて関節の中で炎症を起こすために生じます。初夏に多いのは、一説にはビールの消費が増えるためとも言われます。ビールには尿酸の元になるプリン体が多く含まれているからというのが理由です。
 ただ飲食物と尿酸値との関係はなかなか厄介で、プリン体が多い魚卵などは食べ過ぎないことが賢明ですが、高脂血症に良いとされるアジやサバなどにもプリン体は比較的多く、一概に何が良くて何が悪いとは言えないのが実情です。
 お勧めするとすれば、尿酸の排泄を促す効果がある野菜の摂取に務めることでしょうか。

薬は痛み始める前に

 痛風発作は一般的な腰痛やひざ痛などと異なり、収まってしまうと何ともなくなってしまうものです。また発作が起きている期間に尿酸値を下げる薬を服用すると、さらに症状が悪化することも分かっています。
 このため尿酸値を下げる薬は痛み始める前に服用することが肝要です。

成人病にも直結

 尿酸値が高いということは痛風だけではなく、腎機能を低下させる大きな要因の一つです。また動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞が増えることも分かっています。
 ガイドラインでは、尿酸値が9以上、8以上で高血圧や糖尿病などの成人病のある方、痛風発作のあった方に薬物療法をお勧めしています。 

測定してみましょう

 基本的な健診では尿酸値は測らないこともあるので、人間ドックやかかりつけ医で測ってもらってはいかがでしょうか。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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