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内科あれこれ

胆石について

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 「胆石」とは文字通り、胆のうにできる結石のことです。

脂肪を摂りすぎると

 胆のうは肝臓でつくられた胆汁を溜めておく貯水池のようなところです。胆汁は主に脂質の吸収に関わる消化液で、その主な成分はコレステロールです。
 このため、過剰な脂肪の摂取などにより胆汁中のコレステロールが増加すると結晶化してしまい、胆石ができてしまうのです。全人口の10~15%が胆石持ちとされ、年間約10万人の方が胆石の手術を受けています。

手術が必要な場合

 胆石があっても無症状なら経過観察で済みますが、食後などに痛みを感じる場合や、がんの可能性がある場合、胆のうの出口に結石が詰まって胆のうが腫れる「急性胆のう炎」の場合などは手術が必要になります。
 いずれの手術も多くは腹腔鏡で行い、胆石を含めた胆のうそのものを切除します。
 胆のう全体を切除するとなると、先に述べた胆のうの働きがなくなって消化不良になりそうなものですが、実際にはその心配はありません。それだけ人間は消化のいい食事を摂っているからでしょう。

女性に多い胆のうがん

 胆のうがんはがん全体の1.6%程度を占める比較的珍しいがんです。70歳以上の高齢者に多く、男性より女性にやや多い傾向にあります。黄疸などが発見の契機になることがありますが、腹部エコーなどで偶然見つかるケースもあります。

過度な心配は不要

 胆のうがんの方の40~80%で胆石を合併しますが、胆石があることの発がんリスクはあまり高くありません。ですので胆石があるからといって必要以上に神経質になることはありません。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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