山形コミュニティ新聞WEB版

内科あれこれ

腸内細菌

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 「腸内細菌」という言葉を耳にすることが増えてきました。

1000兆個もの細菌

 人間の身体には1000兆個とも言われる細菌が棲みついています。その大部分が大腸に棲む腸内細菌で、大腸の中でも肛門に近い方に多くが生息しています。
 その理由は、肝臓でつくられ十二指腸に分泌される胆汁の中の胆汁酸に強い抗菌作用があるため、再吸収によって胆汁酸の濃度が薄まる肛門近くが細菌にとって棲みやすい環境にあるからと考えられています。

ビタミン合成の働き

 かつては腸内細菌といえば大腸菌と同義語でしたが、最近では様々な種類があり、人間にとって大切な働きをすることが分かってきました。
 その一つがビタミンの合成で、ビタミンB2、B6、B12など様々なビタミン類が腸内細菌でつくられます。また神経と神経をつなぐ神経伝達物質(ドーパミン・セロトニン)を合成することも明らかになりました。

便秘の改善にも

 さらに食物繊維は腸内細菌で分解され、大腸の栄養源になります。ですから、食物繊維を多く摂れば大腸の働きが良くなり、便秘などが改善されると期待されます。
 そのうえ最近の研究では、腸内細菌と腸の粘膜細胞の間に人間の免疫力を高める様々な作用があることも分かりました。

食物繊維を摂りましょう

 ただ、腸内細菌を改善する試み、つまり善玉菌を増やして悪玉菌を減らす試みはまだ道半ばです。ヨーグルトなどには一定の整腸効果があるものの、食べたからといって善玉菌が腸内で増殖するわけではありません。
 現状では食物繊維の摂取を心がけ、そのうえで整腸剤や消化管の働きを助ける薬を服用することが最善策のようです。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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