内科あれこれ
室温と健康
最近、NHKの報道番組で「家の寒さが血圧の上昇を招き、命を縮める恐れがある」という内容が放送されていました。
冬の室温は18度以上に
寒さが血管の収縮を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞の原因となることはよく知られていますが、慶応大の伊香賀俊治教授の調査によれば、冬の室温として望ましい「18度以上」を満たしていたのは北海道、新潟、千葉、神奈川の1道3県だけだったそうです。
実際、私の実家も居間はそれなりに暖かいのですが、ふすま一つ隔てた玄関の広間は外とほとんど変わらない寒さです。
適度にエアコンを
日本の住宅は通気性重視で大きな窓を設けていることが多いため、暖気が逃げてしまいがち。番組では窓に断熱性フィルムを張ったり、夜間も暖房することを勧めていました。
暖房といえば、電気料金が上がって節電のためもあってか、夏も冬もエアコンをつけたまま寝ることを拒否される方が多いようですが、健康のためには適度にエアコンを利用した方が良いと思います。
多い入浴時の死亡
加えて冬に気を付けたいのが入浴で、脱衣室の寒さと湯温の熱さの差が問題とされます。浴槽での事故で亡くなる人は年間約1万4千人。これは交通事故死の4倍の数で、その約半数は12月から2月にかけて起こっているそうです。
寒さで締まった血管が熱い湯温で急速に開き、血圧の低下が起こることが死亡の原因です。
41度で3分以内
医師会では「良い風呂」に引っ掛け41度のお湯を勧めています。湯船につかる時間は3分以内に。「それでは寒い」という方は、浴室を温める後付け暖房器具もあるそうですよ。
きくち内科医院 院長
菊地 義文(きくち よしふみ)
1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。