内科あれこれ
昨今がん事情(下)
国立がん研究センターの最新統計から、今回は女性のがん事情を分析していきましょう。
女性のがん事情
同センターによれば、2019年時点の女性のがん罹患数は(1)乳房 (2)大腸 (3)肺 (4)胃 (5)子宮――の順。21年時点の死亡数は(1)大腸 (2)肺 (3)すい臓 (4)乳房 (5)胃――の順となっています。
がん罹患数は男女ともすい臓がんが増加している一方で、男女とも肝臓がんが減少傾向にあります。女性では乳がんが増加傾向にあります。
また死亡数は男女で開きがあります。死亡数は男性が9人に1人なのに対し、女性は19人に1人となっています。
肺・胃がんは男性の半分
死亡数をがん別に見ると、大腸がんは男性2万8000人に対して女性2万4000人と男性が若干多い程度です。主な原因とされる食生活の欧米化が男女等しく浸透しているとみられます。 肺がんは男性5万3000人に対して女性は2万3000人と半数以下で、喫煙率などからは妥当なところでしょう。
ピロリ菌除菌が進んで減少傾向にある胃がんは男性2万7000人に対し女性1万4000人。喫煙・飲酒習慣などが背景にあるとみられます。
乳がんは増加傾向
すい臓がんは男女とも1万9000人と差がほとんどなく、今のところ予防や早期発見への手がかりがないことの証左といえます。
女性特有の乳がんの死亡数は1万4800人と前年を200人上回っています。罹患数が増加傾向にあるのも気がかりです。
定期検診をお忘れなく
すでにご存知のように、がん予防の基本は早期発見・早期治療です。自覚症状のないがんも多く、定期的な検診を心がけましょう。
きくち内科医院 院長
菊地 義文(きくち よしふみ)
1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。