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コレステロールの話

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 昨年7月に5年ぶりに改正された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022」が発表されました。いわゆる〝悪玉コレステロール〟との向き合い方にも変化があります。

ガイドラインの改正

 22年版は心筋梗塞、脳梗塞など動脈硬化性疾患のリスクを低・中・高の3段階に分けています。
 具体的には、今後10年間に発症するリスクが2%未満の「低」、2~10%の「中」、10%以上の「高」に分け、それぞれのLDLコレステロール(悪玉コレステロール)値の目標をそれぞれ160、140、120未満とすることを提唱しています。

リスクを3段階に区分

 リスクの分け方は、(1)性別 (2)収縮期血圧 (3)耐糖能異常の有無 (4)LDLコレステロール (5)HDLコレステロール(善玉コレステロール) (6)喫煙の有無――にそれぞれポイントが割り振られていて、その合計で判定します。
 例えば、40代で0~12、50代で0~7、60代で0~1なら低リスク、40代で13以上、50代で8~18、60代で2~12、70代で0~7なら中リスク、50代で19以上、60代で13以上、70代で8以上なら高リスクです。

治療法にも変化が

 LDLコレステロール値を下げる治療ですが、忘れてはならないのは、糖尿病や慢性腎臓病などがある方、喫煙習慣がある人は常に高リスクで、十分なコントロールが必要だということです。
 そのうえで、特に持病のない方や喫煙習慣のない人に必要なのは食生活の改善や運動療法が望まれます。

最後は医師に相談

 努力してもLDLコレステロールが180を切らないようなら薬物療法も選択肢です。最終的にどうするかは患者さんと医師との相談が必要でしょう。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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