山形コミュニティ新聞WEB版

内科あれこれ

糖尿病のこと

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 糖尿病は罹患者の多い病気で、食生活の変化からその数は年々増えています。

インスリン療法の時代

 糖尿病の治療法には長い歴史があります。私が研修医を終えて大学病院に勤め始めた35年ほど前はインスリン強化療法が最新の治療法で、1日3~4回、インスリンを自己注射し、厳格な血糖コントロールが求められた時代でした。
 ただ食後の血糖値を目標範囲内に収めるのは至難の技で、しばしば患者さんが夜間に低血糖になることがよくありました。その一方で、「低血糖が心配だ」とお饅頭を隠れて食べる患者さんもいたりして、よく言えばおおらかで牧歌的な時代でした。

その後メトホルミンも

 その後、インスリン強化療法の副作用がクローズアップされるようになり、私の大学時代には「副作用が多く使ってはいけない薬」だったメトホルミンが再評価されるようになりました。
 最近も新薬が次々に開発され、低血糖の心配もなく診療に当たれるようになったことは私たち開業医にとっては幸いなことです。

目標もHbA1cに

 治療の目標も、血糖値そのものではなく、過去2カ月ほどの血糖の平均値であるHbA1c(糖化ヘモグロビン)になり、その目標が通常の患者さんで7%未満とされたことも治療のしやすさにつながっています。
 糖尿病でない人は5%が普通ですから、かなり達成しやすい目標です。

対面で最適の治療法を

 いずれ私たちが行っている医療行為はAI(人工知能)に取って代わられるかもしれませんが、そうならないよう対面診療にこだわり、患者さんに最良の治療法を提供していくつもりです。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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