山形コミュニティ新聞WEB版

内科あれこれ

胃がん検診

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 今回は胃がん検診についてのお話です。

原因の大半はピロリ菌

 胃がんの原因の大半はピロリ菌への感染です。ピロリ菌は胃の粘膜に棲み、胃酸から身を守るため毒性のあるアンモニアを産出します。このアンモニアが慢性胃炎(以下、胃炎)を発生させ、さらには胃がんを引き起こします。ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる検査が「胃がんリスク層別化検査」です。

リスク層別化検査

 この検査は採血するだけの簡単なもので、血液中のピロリ菌に対する抗体の有無によりA群(ピロリ菌がいない)、B群(ピロリ菌がいて軽い胃炎)、C群(ピロリ菌がいて重い胃炎)の3群に分類します。
 検査の結果、B群とC群の方には内視鏡による確認とその後のピロリ菌除菌をお勧めします。

バリウム検査

 胃がん検診の基本はバリウム検査(胃透視)で、粘膜の性状から胃がんや胃炎があるかどうかを判断します。胃がんが疑われる場合は2次検査(精密検査)として胃カメラに誘導されます。
 胃炎だけの場合は「精査不要」と判定していますが、過去にピロリ菌検査を受けたことのない方は可能な限り胃カメラを受けていただきます。

胃カメラ検査

 胃カメラは、山形市を含む複数の県内自治体で公費による検査が受けられます。50歳以上で偶数歳の時だけという制限はありますが、ピロリ菌が心配な方や、すでに除菌を済ませた方は検査を検討されてはいかがでしょうか。
          
 胃がん検診では、ともかくピロリ菌の有無を明らかにすることが重要です。なるべく若いうちに受診し、除菌につなげることをお勧めします。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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