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内科あれこれ

ピロリ菌

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 11月1日の朝日新聞に「ピロリ菌除菌、遅すぎることはない」という記事が載っていました。読んでみて、わが意を得たりの思いでした。

胃がん原因の99%!

 ご存知のように、ピロリ菌は胃の中に住む細菌で、日本人に多い胃がんの原因の99%まではピロリ菌が関係しているとされます。胃の粘膜がピロリ菌に感染したままだと、やがて粘膜に異変が生じて胃がんにかかるリスクが高まります。
 それを防ぐには、異変が生じる前にピロリ菌を取り除く(除菌)のが望ましいとされてきましたが、除菌がどのようにして胃がんの発生を抑えるかは謎でした。先の記事はそのメカニズムを解明したものでした。

早いうちに除菌を

 ただ「遅すぎることはない」とは言っても、早いに越したことはありません。
 ある報告によれば、20~30歳代で除菌すればほぼ100%胃がんは防げるとされます。40歳代では90%、50歳代で60%、60~70歳代でも30~40%、それぞれ胃がんが減るとされています。

妊娠・出産を望むなら

 ピロリ感染のほとんどは乳幼児期に生じることが分かっていますが、免疫ができていない5歳までの小児は再感染する可能性があるので除菌はしない方がいいでしょう。
 また父子感染の約10%に比べ母子感染は約70%と高いため、妊娠・出産を希望する女性は前もって除菌することが奨励されています。

一度は検査を

 20歳代の感染者は数%とみられますが、若くても「時々胃が痛む」という方は一度は胃カメラを受けてピロリ菌がいるかどうかを確認しておけば安心でしょう。遅くとも30歳代までに。
 また、症状がない方も、胃がん検診が始まったら一度胃がんリスク層別化検査を受け、自分がピロリ菌を持っているかどうかを確認しておくことをお勧めします。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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