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肺炎球菌ワクチン

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 「肺炎球菌」をご存知でしょうか?

様々な病気の原因に

 名前から「肺炎の原因になる菌のこと?」と想像される方が多いでしょう。正解です。ただ肺炎球菌に感染すると肺炎だけではなく、中耳炎や髄膜炎(ずいまくえん)など様々な病気につながることがあります。肺炎球菌によって生じる病気を総称して「肺炎球菌感染症」といいます。
 肺炎球菌は鼻や喉(のど)の奥にいて、体の免疫力が低下した時などに感染しやすくなります。肺炎球菌感染症にかかりやすいのは5歳未満の児童と65歳以上の高齢者。また関節リウマチ、糖尿病などの持病がある方もかかりやすいとされています。

やはり恐ろしい肺炎

 肺炎球菌感染症の代表格である肺炎は日本人の死因の第5位で、肺炎で亡くなる方の95%以上が高齢者です。
 高齢者の方が肺炎にかかると、入院などで体力や筋力が低下してしまうほか、認知機能が衰えるといった悪循環に陥りやすくなります。

ワクチン接種に助成

 国もこの点を憂慮し、2014年から肺炎球菌ワクチンを定期接種としています。対象は65歳から5歳刻みで100歳までの方。また助成が受けられるのは1回だけで、自治体によって対象年齢や助成額にも差がありますのでご確認を。
 日本で承認されているワクチンは「ニューモバックス」「プレベナー」「バクニュバンス」の3つ。定期接種の対象はニューモバックスだけで、あとの2つは全額自己負担になります。
 定期接種と任意接種を組み合わせることも可能です。

かかりつけ医に相談を

 手洗い、うがいなどの励行(れいこう)に加え、ワクチン接種もご自身でできる大切な予防策です。接種する際は、どの時期にどのワクチンを接種すればいいのかなど、かかりつけの先生に相談してみましょう。

さとう花の森呼吸器内科クリニック 院長

佐藤 千紗(さとう ちさ)

山形市生まれ。山形西高から北里大医学部に進み、2006年に同大卒業後に山形済生病院で初期研修医。同病院呼吸器内科、山大附属病院第一内科などを経て22年12月に「さとう花の森呼吸器内科クリニック」を開院。日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医。

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