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健康講座・医学のうんちく

性染色体過剰と病気

 生物の性染色体にはXとYがあります。XXの組み合わせで女性、XYの組み合わせで男性になりますが、過剰な性染色体と病気との関わりも報告されています。

ケンブリッジ大の調査

 英ケンブリッジ大の研究チームが2022年にバイオバンクに登録した男性約21万人の性染色体を調査したところ、X染色体過剰者(XXY)は213人、Y染色体過剰者(XYY)は143人でした。
 

 XXYは思春期遅延が2.7倍、不妊が4.2倍多く認められ、血中男性ホルモンの低下も指摘されましたが、XYYの生殖機能は正常でした。一方でXXY、XYYとも静脈血栓症に6.4倍、7.4倍かかりやすく、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患で4.4倍、4.6倍、肺塞栓で3.3倍、3.7倍でした。

オーフス大の調査

 06年にデンマーク・オーフス大の研究チームが832人のXXY男性を調査したところ、静脈血栓症5・3倍、慢性閉塞性肺疾患3.9倍、肺塞栓(はいそくせん)3・6倍、2型糖尿病3.7倍、精神疾患3.7倍、心臓を含む先天性異常は10.7倍でした。

ロンドン大の調査

 ロンドン大の研究チームは05年、461人のXXY男性の死亡原因を調べました。肺塞栓での死亡率は5.7倍、2型糖尿病で5.8倍、慢性下気道疾患で2・1倍高いことが確認されました。

 また、大腿骨(だいたいこつ)骨折での死亡率が39.4倍、虚血性腸炎で12.3倍、腎臓病で5.0倍高いことも明らかになりました。

気になる方は検査を

 性染色体過剰で罹患(りかん)しやすくなることが分かりますが、その原因は明らかではありません。病気にかかりやすい方は染色体検査を受けてみても良いかもしれません。

山形徳洲会病院院長

笹川 五十次(ささがわ いそじ)

1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。

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