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肺炎について

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 「肺炎」は誰しもがかかる可能性のある病気です。ただ、症状は発熱、咳(せき)、痰(たん)などで、症状だけみれば「風邪」との区別が難しいのが厄介なところです。

肺の微生物が原因

 では風邪と肺炎の違いは何でしょうか?

 風邪は医学的には「上気道炎」と呼ばれ、鼻から喉(のど)までの炎症を指します。ウイルスが原因のことが多く、ほとんど自分の免疫で治ります。

 これに対し、肺炎は肺で病原微生物が繁殖した状態で、ウイルスよりは細菌性のことが多く、適切な抗菌薬が必要になってきます。風邪か肺炎かの鑑別は、レントゲンに頼ることになります。

正体を特定し抗菌薬

 肺炎の治療は、まず痰の検査をして原因微生物を特定します。ただ痰の培養には時間がかかり、当日に原因菌を同定することは困難なため、可能性のある微生物を推定して抗菌薬を選択します。


 痰検査の結果が出て初日に処方した抗菌薬が無効であれば、後日、抗菌薬を変更します。

 気管支拡張症などを患っている方や、入退院を繰り返している高齢の方などは、薬剤耐性菌が原因だったり、緑膿菌という通常の抗菌薬では効果が出にくい病原菌が原因のこともあります。

大半は約1週間で改善

 適切な抗菌薬を投与すれば様々な症状は改善に向かいます。基礎疾患がなければ一般的には約1週間で改善しますが、病原菌の種類や個人によってバラつきもあります。


 外来治療が可能か入院が必要かは、年齢、酸素飽和度などの全身状態、基礎疾患の有無などを加味して判断します。

予防に努めましょう

 

 肺炎の予防は自分の免疫機能を良好に保つことが重要です。そのためには日ごろから規則正しい生活を心がけましょう。
 65歳以上の方、基礎疾患のある方は、肺炎球菌ワクチンの接種も予防につながるでしょう。

さとう花の森呼吸器内科クリニック 院長

佐藤 千紗(さとう ちさ)

山形市生まれ。山形西高から北里大医学部に進み、2006年に同大卒業後に山形済生病院で初期研修医。同病院呼吸器内科、山大附属病院第一内科などを経て22年12月に「さとう花の森呼吸器内科クリニック」を開院。日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医。

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