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相続の基礎知識

相続の基礎知識/(24)相続放棄後の義務

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 以前に弁護士が「相続放棄」を取り上げましたが、今回は相続放棄を行った後の相続人の義務についてのお話です。

相続放棄とは

 まず簡単におさらいですが、相続放棄とは自分が被相続人の資産及び負債といった一切の権利の相続を放棄する手続きで、家庭裁判所に申述する必要があります。
 これにより、その相続に関して初めから相続人とならなかったものとみなされるため、資産より負債が多い場合にメリットがあります。

財産の管理義務は残る

 このように相続人ではなくなることから一切の義務を負わなくて済むと思われがちですが、そうではありません。その放棄によって相続人となる人が相続財産の管理を始めるまでは、財産管理を行わなければならない義務があります。
 つまり、次の相続人となる人が相続をし、財産管理を始めてようやく放棄した人は義務を負わなくなるのです。

相続人が不在の場合

 では相続人となる人が全員放棄をし、相続人がいなくなった場合、相続財産の管理義務は誰が負うのでしょうか? 
 実はこの場合、民法には明確な規定がなく、確実に管理義務を負わなくてすむためには家裁に「相続財産管理人」の選任申し立てを行う必要がありました。

来年4月に民法改正

 このため、相続放棄をした人の義務を明確にしようと、来年4月1日から民法が改正されることになりました。要点は、相続財産を現に占有している相続放棄者だけに義務を継続して負わせるということです。

占有していなければ

 例えば、親が亡くなって県外の実家が空き家になった場合、相続人がその家に住んでいなければ相続放棄することにより管理義務を負わなくてすむようになります。

司法書士

遠藤 和法(えんどう かずのり)

1988年(昭和63年)天童市生まれ。2011年に司法書士資格取得。趣味はウイスキー。

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