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相続の基礎知識

相続の基礎知識/(70)故人のNISAは?

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 すでにご存知のように、NISA(少額投資非課税制度)とは、一定の枠内で株式や投資信託などの運用益が非課税になる制度です。では、NISA口座で資産運用していた人が亡くなった場合、その口座はどうなるのでしょうか?

そのままは引き継げず

 結論から言えば、NISA口座は名義人固有の制度であり、NISA口座そのものを相続人が引き継ぐことはできません。

 故人がNISA口座で保有していた金融商品は、死亡時に故人の課税口座(特定口座または一般口座)に引き継がれ、その後、相続人の課税口座へ移管されます。

 相続人がNISA口座を所有していたとしても、故人のNISA口座を相続人のNISA口座に移し替えることはできないのです。

課税口座に移されます

 相続人の課税口座に移管された金融商品は、通常の課税口座内で運用されることになり、運用益は課税対象になります。

 ただ、NISA口座の所有者が購入時から亡くなる時までの運用益については、非課税措置の適用があります。

どのように課税?

 相続人が金融商品を移管して受け入れた場合、その金融商品の「取得日」は相続発生日になり、「取得価額」は相続発生日の時価になります。つまり、その後に金融商品を売却した場合には売却時の時価と相続発生日の時価の差額(運用益)に対して税金がかかることになります。

 通常の相続では被相続人が取得した際の取得日と取得価額が引き継がれるため、NISA口座からの相続は取り扱いが異なります。

手続きは複雑

 相続が発生した場合、NISA口座のある金融機関に連絡し、「非課税口座開設者死亡届出書」などの書類の提出が必要です。そのほか、通常の相続と異なる点も多いため注意が必要です。

鈴木僚税理士事務所 税理士

鈴木 僚(すずき りょう)

1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。

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