山形コミュニティ新聞WEB版

相続の基礎知識

相続の基礎知識/(05)節税対策

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 相続税対策として、アパート経営を検討されている方も多いことでしょう。その効果のほどはどうなのか、一緒に考えてみましょう。

アパート経営の場合

 手持ちの土地に、金融機関から借りた1億円で賃貸アパートを建てるとすると、相続税評価額はおよそ4200万円ほどになります。一方、1億円の借金はそのまま1億円の借入金として評価され、相続財産からそのまま差し引かれることになります。

 つまり、アパートを建てたことにより、相続税評価は4200万から借入1億円を引いたマイナス5800万となり、他の財産の評価額と通算され、相続税は下がることになります。

理論上は有効

 仮に自己資金でアパートを建てた場合も同じで、1億円の預金が評価額4200万円の不動産に変わるだけです。
 さらに土地は200平方メートルまで、「小規模宅地等の評価の特例」が受けられ、評価額から50%が減額されることもあります。
 これらが節税のカラクリです。

安易な考えは禁物

 ただ、安易な考えでアパート経営に手を出すのは考えものです。不動産事業に携わったことのない素人が、大きな借金を抱えながらアパート経営に乗り出すのは簡単なことではありません。
 遺族にアパートを引き継ぐ意思はあるのか、月々のローン返済、入居率の確保や空室のリスク、老朽化した場合の修繕費の問題など、事前に入念な検討が必要なことは言うまでもありません。

しっかり先を見据えて

 結論として、アパート経営は節税対策として有効ですが、それを使いこなすにはそれなりの覚悟が必要ということです。
 節税対策は目先のことにとらわれず、じっくり取り組むことです。専門家にも相談しましょう。

鈴木僚税理士事務所 税理士

鈴木 僚(すずき りょう)

1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。

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