山形コミュニティ新聞WEB版

セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第六回 山形駅(下)

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 先々代の山形駅は大正五年の竣工で、いかにも駅という風格のある建物であった。五十年あまりの永きにわたって「山形の顔」を務めてきたが、昭和四十二年に先代の山形駅舎にバトンタッチした。

 先代の山形駅は初の鉄筋づくりの駅舎で、余計な装飾は施されず、機能重視のシンプルな構造になっていた。とはいえ遊びの部分がまったくなかったわけではなく、当時としては珍しかった海水魚の水槽がロビーに設置されていた。

《セピア色の風景帖》 第六回 山形駅(下)

 水族館に行かなければ見られないようなミノカサゴやチョウチョウウオといった色とりどりの魚が泳ぐ様子を列車を待つ間、飽きずに眺めていた憶えがある。
 ただ、シンプルすぎてこれといった特徴もなかったため、実は駅内部の写真は手元にまったくない。だが後年、アニメ映画「おもひでぽろぽろ」に描かれた駅の様子をあらためて目にすると、当時は気づかなかった味を感じることが出来た。先代山形駅が記憶の中にあり、まだご覧になっていない人にはお勧めの映画だ。

          ◇     ◇

 当時は地下に飲食店街も形成されていたが、飲食店が地上に集積するようになって次第に地下街は衰退していった。待合いの人は道を挟んだ喫茶店「明治パーラー」まで足を運んで時間をつぶすなど、地上の店を好んでいたようである。
 化粧の濃い高校生が行きかう現在の駅には建設から十五年以上たった今でも何となく馴じめず、以前の山形駅を思い出してみた。   (F)

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