山形コミュニティ新聞WEB版

セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第七十二回 ヤマザワ北駅前店

Share!

 JR山形駅の隣駅にもかかわらず、北山形駅の周辺はどこか寂れた感じが漂う。ヤマザワの北駅前店は駅周辺がまだ元気だった昭和44年にオープンした。

《セピア色の風景帖》 第七十二回 ヤマザワ北駅前店

 北駅前店の横壁には抽象壁画が描かれていた。45年に開かれた大阪万博で岡本太郎が製作した芸術作品「太陽の塔」が話題を呼んでいたことも関係したのだろうか。
 車が今ほど普及していなかった時代の設計とあって出入り口は歩道の横にあった。徒歩での買い物なら広い駐車場など無用の長物で、ヤマザワの今風の店舗よりかえってこの方が便利といえた。
 だが車社会になると鉄道を利用する人は少なくなり、駅前の存在感は薄れていった。山形駅はともかく、近隣の蔵王駅、羽前千歳駅、漆山駅などを見る限り、駅が街の発展につながるわけではないということを思い知らされる。

《セピア色の風景帖》 第七十二回 ヤマザワ北駅前店

 老朽化などで平成21年に北駅前店の閉鎖が明らかになったところ、買い物の利便性が失われるとして周辺住民がヤマザワに営業継続を求め、閉店が1年先延ばしになった。結局は平成22年に閉店、24年に東側に宮町店が開業した。 (F)

記事閲覧ランキング

  • 24時間
  • 週間