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相続の基礎知識

相続の基礎知識/(69)iDeCoについて

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 今回は、老後資金の形成手段として注目されているiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)について、そしてiDeCo加入者に万一があった場合の資産がどうなるかについて解説しましょう。

受け取りは60歳以降

 すでにご存知の方も多いと思われますが、iDeCoは公的年金にプラスしてつくる私的年金のひとつで、自分で掛け金を出して金融機関を選び、運用商品を決めます。
 受け取りは60歳以降で、原則として途中解約はできません。

メリットは税制優遇

 iDeCoの最大のメリットは税制優遇が受けられるところです。
 まず「掛け金拠出時」。支払った掛け金は全額所得控除の対象になり、所得税や住民税が軽減されます。次に「運用時」。通常は金融商品の運用益に課税されますが、iDeCoでの運用益は非課税です。

 そして最後に「受給時」。年金で受け取る場合は雑所得として課税されますが、公的年金と同様に公的年金等控除の対象になります。

加入者が亡くなった場合

 では、掛け金をかけている途中に加入者が亡くなった場合、資産は国庫に入るのでしょうか?

 ご心配なく。60歳前に亡くなった場合も、60歳以降に受給を開始して亡くなった場合も、死亡日から5年以内に請求すれば「死亡一時金」として遺族が受け取ることができます。請求から3カ月以内に現金化され、支払われることになります。

 死亡一時金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になりますが、死亡後3年以内なら法定相続人1人当たり500万円までの非課税枠があります。

5年以内に請求

 注意が必要なのは、請求が5年以内という点で、期限を過ぎれば国庫に編入されてしまいます。また加入者は死亡一時金の受け取り人を指定することもできますが、死後5年を過ぎると相続財産になり、遺産分割協議の対象になります。

鈴木僚税理士事務所 税理士

鈴木 僚(すずき りょう)

1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。

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