睡眠と健康
「睡眠負債」という言葉をご存知ですか?日々の睡眠不足が借金のように積み重なり、心身に悪影響を及ぼすことで、2017年の新語・流行語大賞のトップ10にも選ばれています。
睡眠時間が少ない日本
18年に経済協力開発機構(OECD)が行った調査によれば、日本人の平均睡眠時間は7時間22分と加盟33カ国の中で最も短く、平均よりも1時間少ないそうです。
近年、睡眠時間が6時間未満の人は、心筋梗塞(しんきんこうそく)や肥満・高血圧などメタボリックシンドロームや死亡のリスクが増加することが報告されています。また睡眠が不足することによりうつ病の発症が増え、子どもでは学業成績が低下することも明らかになってきました。
適切な睡眠時間は?
夜間に実際に眠れる時間は加齢により徐々に短くなることが知られています。15歳前後では約8時間、 25歳で約7時間、45歳では約6.5時間、65歳では約6時間で、成人後は20年ごとに30分程度の割合で夜間睡眠時間が減少します。
必要な睡眠時間には個人差がありますが、小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間、成人6~8時間が一つの目安とされます。ただ、65歳以上の方は8時間以上の睡眠は認知症や死亡のリスクが逆に増えてしまうため、寝過ぎにも注意が必要です。
規則正しい生活を
良い睡眠のためには、まず規則正しい生活を送ることを心がけましょう。就寝1~2時間前に入浴し、身体を温めると眠りやすくなります。 また、運動習慣がある人には不眠が少ないことがわかっています。
カフェインの摂取は極力控え、禁煙に努めましょう。過度の寝酒もNGです。
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睡眠負債に心当たりのある方は生活を改善し、心身を健康に保つことを心がけましょう。
TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。