山形コミュニティ新聞WEB版

泌尿器講座

腎臓の腫瘍(1)

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 体内で血液の濾過装置としての役割を担う腎臓。その腎臓の役割を脅かす腫瘍には悪性のものと良性のものがあり、今回からはこれら腎腫瘍をテーマに解説していきましょう。

腎腫瘍の9割は腎細胞がん

 腎腫瘍の約90%が「腎細胞がん」で、腎臓の中で尿をつくる腎実質というところにできるがんです。
 日本では年間で人口10万人当たり男性8.2人、女性3.7人が発症しています。年代別では70歳代前半が最も多く、50~60歳代から増加する傾向にあります。
 原因は喫煙や肥満、高血圧・糖尿病などの生活習慣病、いわゆるメタボリックシンドロームが関係しているとされます。

小木博明さんも罹患

 症状には血尿、脇腹や背中の痛み、発熱などがありますが、初期の段階ではこれらの症状はほとんどみられません。早期に発見されるケースの大半は検診や他の病気で行われた検査で偶然見つかる〝偶発がん〟です。
 最近では、お笑いコンビ「おぎやはぎ」の小木博明さんが持病の片頭痛の検査をしたところ、初期の腎細胞がんが見つかったことが話題になりましたね。

全摘か部分切除か

 治療は腎臓ごと摘除する根治的腎摘除術が基本ですが、腫瘍が小さい場合は腎臓の機能をできるだけ温存する腎部分切除術も選択できます。
 腎部分切除術は、手術ロボット「ダビンチ」を使ったロボット支援腎部分切除術が保険適用になっています。

セカンドオピニオン

 「全摘」か「部分切除」かは難しい選択ですが、迷った時はセカンドオピニオンを利用することをお勧めします。
 大きな病院では「セカンドオピニオン外来」を設けており、保険適用外で主治医からの紹介状が必要となりますが、主治医とは別の医師の意見を聞くことができます。

いしい腎泌尿器科クリニック 院長

石井 達矢(いしい たつや)

1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医・指導医。日本医師会認定産業医。

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