山形コミュニティ新聞WEB版

真理子先生の女性のミカタ

骨盤臓器脱(下)

Share!

 子宮や膀胱など、骨盤の中にある臓器が膣の外に飛び出してくる「骨盤臓器脱」の症状がある女性にとって、重い荷物を持つことは最大のタブーです。

重い荷物を持つのは×

 妊婦さんにとって、重い荷物の上げ下げは胎盤にも影響しかねない極めて危険な業務です。
 このため労働基準法では、妊婦はもちろん、18歳以上の女性は20キロ以上(継続作業の場合は30キロ以上)の荷物を取り扱う業務に従事させてはならないと定めています(労基法64条の3第2項)。これに違反した雇用主は罰則の対象になります。

下垂や脱出の程度は

 骨盤臓器脱を診断する際のポイントとしては、まずは問診や内診で行い、他の婦人科疾患が隠れていないかを確認することと、エコーやMRIで下垂や脱出の場所や程度を知ることです。
 症状により泌尿器科や外科などをご紹介することもあります。 

軽ければ体操から

 軽い症状の場合の治療としては、骨盤底筋群を鍛える体操を習慣にしましょう。肛門や膣を意識して引き上げる体操で、5~10秒くらいの収縮を毎日10~50回くらい繰り返してください。
 また骨盤を持ち上げる効果が期待できる漢方薬があるほか、リング型のペッサリーを膣内に入れて臓器の下垂や脱出を抑える治療もあります。
 症状が重い場合は、緩んだ骨盤底筋の代わりに膣壁を強化する手術という選択肢もあります。

専門医に相談を

 このように、骨盤臓器脱はさまざまな治療でかなり調子が良くなる方もいらっしゃる病気です。どうか我慢せずに専門医に相談しましょう。
 繰り返しになりますが、くれぐれも重いものには注意しましょう。

伊藤真理子先生

真理子レディースクリニック 院長

伊藤 真理子(いとう まりこ)

1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。

真理子レディースクリニック

記事閲覧ランキング

  • 24時間
  • 週間