山形コミュニティ新聞WEB版

健康講座・医学のうんちく

テストステロン補充

Share!

 

 近年は、男性にもホルモンの減少に伴って「更年期障害」が起こることが分かってきました。治療にはテストステロン補充が優先されますが、残念ながら、その安全性は確立されていないのが実情でした。
 実際、カナダ・トロント大の研究チームは2016年、治療を始めた初期の段階では心血管疾患の発症および死亡リスクが高くなることを報告しています。

米チームが安全性研究

  そんな中、今年になって米クリーブランドクリニックの研究チームが注目に値する研究成果を発表しました。

 この研究は心血管疾患を有するか、そのリスクの高い更年期障害の症状がある男性にテストステロン補充を行った際、心血管疾患の発症に影響を与えるかどうかというものでした。
 対象は5204人で、約半数にテストステロン、残り半数に偽薬を投与しました。

低い心疾患リスク

 その結果、心血管死、非致死的心筋梗塞(しんきんこうそく)、非致死的脳卒中の発生はテストステロン群が182人(7.0%)、偽薬群が190人(7.3%)で差がありませんでした。


 またテストステロン群は偽薬群と同様、心房細動、急性腎障害、肺塞栓(はいそくせん)症などの発現率もわずかでした。
 

結論として、テストステロン補充を行っても心疾患系の複合リスクや、有害事象の発現率は全般に低いとしています。

前立腺がんとの関係

 ただ、前立腺がんの発現率はテストステロン群と偽薬群で変わらなかったものの、前立腺特異抗原(PSA)のベースラインからの増加はわずかに上回っていました。


 テストステロン補充と前立腺がんとの因果関係はないとされていますが、念には念を入れ、治療前に前立腺がんがないことを調べる必要がありそうです。

山形徳洲会病院院長

笹川 五十次(ささがわ いそじ)

1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。

記事閲覧ランキング

  • 24時間
  • 週間