HPVワクチン(上)
ヒトパピローマウイルス(HPV)といえば子宮頸がんの原因になることで知られていますが、男性に感染して様々な病気を引き起こすこともあります。
男性が感染することも
男性がHPVに感染すると尖圭コンジローマなどの性感染症のほか、肛門がんや中咽頭がんの原因にもなります。
このため世界では予防のためのHPVワクチンは男女とも区別のない接種が進められています。アメリカやイギリス、オーストラリアなどの国々では接種費用が実質無料の「公費接種(定期接種)」の対象になっているほどです。
南陽市では公費接種
日本では2020年12月から「HPV4価ワクチン」の男性への接種が承認されましたが、原則は自費接種で接種はあまり広がっていないのが実情でした。
そうした中、大きなニュースが飛び込んできました。以前お伝えした青森県平川市、北海道余市町などに続き、県内の南陽市で6月から男性のHPV4価ワクチンの無料接種が始まりました。既に対象者に個別郵送もされています。
感染を防ぐためにも
子宮頸がんはHPVワクチンと子宮がん検診をすれば世界で最も予防方法が確立しているがんとされます。HPVは性行為で感染するため、男性もワクチン接種することでより高い予防効果が期待できます。
15歳になる前に
HPV9価ワクチンの標準接種は3回。1回目はいつでも(コロナワクチンとは互いに2週間あけて)2回目は標準2ヵ月後(1ヵ月以上あければ可)3回目は2回目から標準4ヵ月後(3ヵ月以上あければ可)。妊娠中は接種できません。
今春から、15歳になる前日迄に1回目ワクチンを接種すれば2回接種で済むと決定。2回目は標準6ヵ月後から12ヵ月後(5ヵ月未満の場合は3回接種が必要なので御注意を)2回接種で済む14歳のうちに計画しましょう。
真理子レディースクリニック 院長
伊藤 真理子(いとう まりこ)
1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。