台風と頭痛
日本に接近していた台風9号は5日までに温帯低気圧に変わったそうですが、例年この時期、台風が接近するとなぜか頭痛の症状が出るという方がいらっしゃいます。
気圧の低下で誘発され
気圧の急速な低下が頭痛を引き起こす要因になることは比較的知られていますが、台風の接近時はまさに気圧の低下を伴います。つまり「なぜか」ではなく、台風と頭痛は密接な関係にあるといってもいいでしょう。
また台風に伴う気温や湿度の変化も頭痛を誘発する要因の一つになります。山形は比較的台風とは無縁ですが、当院の外来でも、山形から遠く離れた沖縄や九州に台風が上陸した時、台風由来と思われる頭痛で来院される方もおられます。
有効なトリプタン
台風由来の頭痛に対処するため、多くの頭痛外来では過去の頭痛のパターンなどを踏まえて治療計画を立てるところが多いようです。適度な運動や適切な水分補給は大切です。
台風由来の頭痛は症状が重いことが多く、市販の鎮痛剤が効かない場合も。そんな場合は片頭痛の急性期治療として広く使用されるトリプタンが有効とされます。

CGRP製剤も推奨
台風が来る8月下旬から10月上旬は鎮痛剤を内服するほどではないものの、毎日のように調子が良くないと訴える人もいらっしゃいます。
そんな人にはあらかじめ予防薬を使用するのがお勧めで、最近では漢方薬や4年前に登場した片頭痛予防のための新薬「CGRP製剤」で頭痛を減らすことも推奨されています。
早めに受診を
台風由来の頭痛でお悩みの方は、早めに医療機関を受診し、事前に医師と相談して適切な薬を確保しておくことが痛みの軽減とQOL(生活の質)向上につながります。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。
