片頭痛(上)
日本における片頭痛患者数は約1000万人とされ、今や〝国民病〟と言っても過言ではありません。
本人や家族にも負担
脳卒中や認知症など数多い神経疾患の中で「最も負担に感じる疾患」を聞いたところ、片頭痛は5~19歳では第1位、20~59歳では第2位でした。片頭痛が月4日以上の患者さんの5割は生活に支障があると答えており、休職・退職、不登校のきっかけになったりします。また片頭痛患者さんの家族へのアンケートの結果では、45%の家族が「片頭痛がなくなれば、笑顔が増える」と回答しています。
多くは17歳代から発症
2025年の報告によれば、片頭痛を最初に発症するのは17.8歳からが多く、市販薬を飲み始めるのが19.4歳、初めて病院を受診するのは25.9歳、片頭痛と診断されるのが26.9歳、治療薬であるトリプタン製剤を処方されるのは28.5歳が多いことが分かりました。
当院に外来で訪れる患者さんの中でも、初めて片頭痛と診断されたという人や、鎮痛剤以外の治療法を初めて知ったという人が多いのも事実です。

受診しない人が多く
残念ながら、片頭痛の患者さんは頭痛のある日常が当たり前になっています。実際、病院を受診していない患者さんは6割に達します。その理由として「頭痛を深刻に感じていない」「痛みの程度が低いと思った」などを挙げています。
痛みを我慢しながら日常生活を送っている方が少なくないというのが実情です。しかし、片頭痛は我慢するのではなく、起こさないようにするのが肝要です。
専門医に相談を
頭痛でお悩みの方は、頭痛が起きて当たり前の生活を一緒に変えていけるように、頭痛専門医のいる頭痛外来の受診をおすすめいたします。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。
