真理子先生の女性のミカタ
子宮外妊娠
赤ちゃんが子宮以外の場所で育つ病気が「子宮外妊娠」で、「異所性妊娠」とも呼ばれます。
受精卵が子宮以外で着床
卵巣から排卵された卵子は精子と出合い、受精が成立すると受精卵になります。通常、受精卵は約1週間かけて卵管を移動しながら細胞分裂を繰り返し、子宮内膜に着床します。
ところが卵管に何らかのトラブルがあった場合、受精卵が子宮内膜まで到達できず、卵管などに着床してしまうことがあります。これが子宮外妊娠です。
胎のうが確認できず
通常の妊娠の進行では、妊娠5週を過ぎると超音波検査で子宮内に胎のう(赤ちゃんが育つ部屋)が確認できますが、子宮外妊娠の場合は市販の妊娠検査薬でも陽性反応は現れるものの、妊娠5週を過ぎても超音波検査で子宮内の胎のうは確認できません。
命に関わる病気です
子宮外妊娠は全妊娠数の1~2%とされます。着床する場所としては卵管、子宮間質部、子宮頚管、卵巣、腹腔、帝王切開はん痕部などがありますが、胎児や胎のうの成長に伴い大きくなれる子宮と異なり、いずれも組織が成長することができません。
このため、着床した卵管などが突如として破裂し、激痛や大出血につながることもあります。そうです、子宮外妊娠は命に関わる病気なのです。
早期発見・早期治療を
大切なことは早期発見・早期治療で、早ければ、手術でなく薬物治療で可能な場合も。
月経が遅れている方や妊娠反応が陽性に出た方は早めに婦人科で診てもらいましょう。
「妊娠と出産は命がけ」ということをお忘れなく。
真理子レディースクリニック 院長
伊藤 真理子(いとう まりこ)
1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。