山形コミュニティ新聞WEB版

真理子先生の女性のミカタ

血栓症

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蒸し暑い季節になりました。汗が流れて身体から水分が失われると血液が濃縮して「血栓症」のリスクが高まります。


重篤な疾患の原因に

 

 血栓症とは血管の中で血液のかたまり(血栓)ができて詰まり、血流が悪くなることで発症する病気です。脳の血管が詰まれば「脳梗塞」、心臓の血管が詰まれば「心筋梗塞」、下肢(ふくらはぎ)でできた血栓が肺に行けば「肺塞栓」などの重篤な疾患につながりかねません。
 発症前の予測は困難ですが、初期症状として①下肢の痛みやむくみ、発赤②息切れや胸の痛み③腹痛④頭痛やめまい⑤視力障害⑥舌のもつれ⑦手足のしびれ――などがあります。

リスクが高い人は

 リスクが高い方は、肥満、高血圧、高脂血症や糖尿病や不整脈、喫煙者。また妊娠中の方や出産直後(産褥)も血栓症のリスクが高まることが知られています。治療用の女性ホルモン(エストロゲン)でもリスクが高まります。低用量ピル(月経困難症治療用や避妊用)や更年期障害の治療法の女性ホルモン補充療法も、リスクが高まりがちです。

新型コロナでも発症

 さらに、当初は「新型肺炎」とも呼ばれていた新型コロナウイルス感染ですが、肺だけでなく、血栓症が起きることも分かってきました。このため日本血栓止血学会は5月、感染によって血栓症発症リスクが増大すると警鐘を鳴らしています。

下肢動かし、水分補給

 血栓症予防には、当然ですが血栓をつくりにくくすることが大切。そのためにはまず下肢を積極的に動かし、血液を滞らせないことです。デスクワークや旅行などで長時間座ったままの姿勢は血栓症リスクを高めます。
 小まめな水分補給も忘れずに。着圧(弾性)ストッキングも効果的です。禁煙節酒はもちろん、適度な運動や規則正しい生活が何よりです。

伊藤真理子先生

真理子レディースクリニック 院長

伊藤 真理子(いとう まりこ)

1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。

真理子レディースクリニック

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