山形コミュニティ新聞WEB版

泌尿器講座

尿閉

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 尿閉(にょうへい)とは、腎臓(じんぞう)で作られた尿が膀胱(ぼうこう)まで運ばれ貯まってはいるものの、排尿しようとしても出てこない状態のことです。

膀胱に尿が溜まる!

 尿閉になると膀胱に多量の尿が溜まって下腹部が盛り上がってきます。通常1回の尿量は多くても500㍉㍑程度ですが、2㍑近く尿が溜まることもあります。

 尿閉になっても尿が一滴も出ないわけではなく、膀胱の容量を超えた尿が少量ずつ漏れてくることもあります。この状態は「溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)」と呼ばれ、社会生活に支障をきたすケースも少なくありません。

超音波検査で診断

 診断は超音波検査で容易に行えます。その際には両側の腎臓も観察し、腎臓で作られた尿が膀胱に送れなくなっている「水腎症(すいじんしょう)」という状態がないかどうかを確認します。この水腎症を放置すれば腎不全の状態に進行することがあります。

原因を探っていくと

 尿閉の原因のほとんどが前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)で、患者さんは大半が男性ということになります。

 前立腺肥大症で排尿に支障がある方が多量に飲酒したり、飲酒をしなくても、市販の総合感冒薬や葛根湯(かっこんとう)などの「麻黄(まおう)」含有の漢方薬を内服したりすると、しばしば尿閉を引き起こします。

カテーテル治療が基本

 治療は尿道にカテーテルを入れ、膀胱に溜まった尿を抜くことが基本です。ただ、すぐには自力で排尿できないことも多く、前立腺肥大症や神経因性膀胱の薬を投与しながら尿道にカテーテルを留置して尿路を確保するか、膀胱に尿が溜まるたびに自力で尿を抜く「自己導尿」を行います。

 前立腺肥大症が尿閉の原因で薬物療法が無効なら、肥大した前立腺を内視鏡で切除する方法もあります。

 尿閉にならないまでも、尿が出にくくなったと感じたら早めにお近くの泌尿器科に相談しましょう。

いしい腎泌尿器科クリニック 院長

石井 達矢(いしい たつや)

1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年(令和2年)5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医・指導医。日本医師会認定産業医。

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