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荒井幸博のシネマつれづれ

嘘八百 なにわ夢の陣、ファミリア

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新春からベテランが勇躍

長年、日本映画界を牽引してきた中井貴一と役所広司がそれぞれ主役を務める映画が1月6日から公開されている。

<荒井幸博のシネマつれづれ>嘘八百 なにわ夢の陣、ファミリア

 中井が主演の「嘘八百 なにわ夢の陣」は2018年から始まった嘘八百シリーズの第3作。中井演じる空振りばかりの古物商・小池と、佐々木蔵之介演じる落ちぶれた陶芸家・野田がだまし合いの大騒動を繰り広げるコメディ。


 本作は、かつて豊臣秀吉の出世を後押ししたと言われる七つの縁起物「秀吉七品」のうち、幻のお宝として伝説になっている「鳳凰」を巡るドタバタ劇。鳳凰を当て込んだ展示会を2つの団体が企画するが、鳳凰は果たして存在するのか? 


 劇中には、天守閣復興90周年の大阪城が登場。安田章大、中村ゆりがゲストで物語の一方の軸となるが、何といっても見どころは中井と佐々木の漫才のような関西弁でのやり取り。


 そして2人を取り巻く友近、宇野祥平、森川葵、前野朋哉らレギュラー陣が絶妙なチームプレーを見せてくれる。

 もう一方の役所は「ファミリア」で陶器職人を演じる。「嘘八百」とは陶器つながりだが、内容は真逆。国籍や文化を超えて家族を創ろうとする人々の姿を描いたヒューマンドラマ。


 役所演じる神谷誠治は妻を早くに亡くし、山里でひとり孤独に暮している。そんな誠治のもとに、アルジェリアで石油プラントの仕事をしている一人息子の学(吉沢亮)が婚約者のナディアを連れてやって来る。学は結婚を機に会社を辞め、窯業を継ぎたいというが、誠治は反対する。


 隣町に住む在日ブラジル人の若者マルコスは、半グレ集団から追われているところを助けてくれた誠治を慕い、焼き物をやりたいと願い出る。その一方で、アルジェリアに一時帰国した学夫婦に悲劇が襲う――。 

 2作では中井、役所のほか、ファミリアでは刑事役で佐藤浩市も登場する。円熟味を増す3人に出会え、思わず「こいつは春から演技がいいわえ」と唸ってしまう。

 

シネマパーソナリティー

荒井あらい 幸博 ゆきひろ

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜19時)を担当。


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