山形コミュニティ新聞WEB版

健康講座・医学のうんちく

ED治療薬

Share!

 勃起不全(ED)の治療薬としてバイアグラ、レビトラ、シアリスが知られていますが、これらはホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬と呼ばれます。

ED以外にも効能が

 2025年には全世界で3億2000万人の男性がEDの悩みを抱えると試算されており、PDE5阻害薬は広く普及されることが予測されます。最近では、前立腺の筋肉の緊張をほぐし、尿の排出を良くすることも明らかになり、前立腺肥大症の治療にも使われるようになっています。

 また、抗炎症作用や抗酸化作用も認められ、アトピー性皮膚炎やアンチエイジングにも効果があると考えられています。

注意点もあります

 ただPDE5阻害薬にも注意点があります。ニトログリセリンなど狭心症の薬と併用すると血圧の異常低下を招きかねないことは以前から指摘されています。

 また米ニューヨーク大の研究チームは、PDE5阻害薬の服用で悪性黒色腫(こくしょくしゅ)になる危険性が1.2倍に増えると報告しています。

 これはPDE5阻害薬が悪性黒色腫の発生と関係する遺伝子も活性化させるためと考えられています。

待たれる今後の調査

 ただ、危険性が上昇していたのは最初の処方だけで、2回以上の処方では認められませんでした。3種類のPDE5阻害薬の間での差も認められていません。つまり結論には至っておらず、今後の継続的な調査が必要でしょう。

偽造品は危険なことも

 深刻なことは偽造品の流通です。病院で処方してもらうのには抵抗があるという人も少なくなく、インターネットで簡単に手に入るようになっています。ただネット購入の半数以上は偽造品とされています。

 偽造品は成分が過剰だったり過少だったりするばかりでなく、不純物が含まれている可能性もあります。安全のためにも病院で処方してもらいましょう。

山形徳洲会病院院長

笹川 五十次(ささがわ いそじ)

1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医。

山形徳洲会病院

記事閲覧ランキング

  • 24時間
  • 週間