<荒井幸博のシネマつれづれ> アーヤと魔女

2021年8月27日
ジブリ初の3DCGアニメ

 「ハウルの動く城」の原作で知られるダイアナ・ウィン・ジョーンズの同名児童文学を、企画・宮﨑駿、監督・宮崎吾朗でスタジオジブリが初めて長編3DCGアニメとして映画化したのが本作。

<荒井幸博のシネマつれづれ> アーヤと魔女

 舞台は1990年代のイギリス。親を知らずに幼いころから孤児院で育ってきた10歳のアーヤ・ツールは、こまっしゃくれた気の強い女の子。どんなわがままを言っても聞いてくれる孤児院での暮らしに満足している。
 そんなある日、けばけばしいファッションのベラ・ヤーガと長身・強面の男マンドレークという怪しい2人組と出会い、彼らの家に引き取られることになる。ベラ・ヤーガは魔女で、手伝いがほしかったという。
 彼女の正体が分かってもひるまないアーヤは、魔法を教わることを条件に彼女の助手として働くことを約束したが、いくら頑張っても奴隷のようにこき使われるばかり。
 「これでは虐待じゃないか!」と怒りを覚えるアーヤだったが、へこたれはしない。魔法の秘密を知る黒猫トーマスの力を借り、持ち前のずる賢さで反撃を開始するのだった――。

 声優はアーヤを若手女優の平澤宏々路が担当するほか、寺島しのぶ、豊川悦司、濱田岳ら豪華な顔ぶれが並ぶ。
 アーヤは、従来のジブリ映画ヒロインのイメージとは大きく異なる。目を見開いたり、鼻をつまんだり、怪訝そうな顔をしたり、大口をあけて笑ったりと表情豊か。周りの人間を賢く操るしたたかさ、図太さがあり、鼻持ちならないところもあるが、どんな逆境に陥っても決して諦めない、へこたれない強さ、逞しさがある。そんなアーヤにいつの間にか共感し、応援したくなる。

 ジブリ作品と言えば、山形市高瀬の紅花農家を舞台にした高畑勲監督「おもひでぽろぽろ」が公開されてから30周年を迎えた。どちらの作品もプロデューサーは鈴木敏夫さん(73)。古希を過ぎた今も変わらぬかくしゃくとした仕事ぶりに敬服します。


<荒井幸博のシネマつれづれ> アーヤと魔女
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜19時)を担当。