医学のうんちく/HPVについて

2021年3月12日
 子宮頸がんの原因として知られるヒトパピローマウイルス(HPV)は現在まで200種類以上が確認されています。

皮膚型と粘膜性器型

 大別すると、皮膚接触で感染する「皮膚型」と性交渉で感染する「粘膜性器型」があります。粘膜性器型は性交渉経験者ならほぼすべての成人男女が感染している極めてありふれたウイルスです。症状が出ないウイルスのため、感染しても気がつかないまま生活している人がほとんどです。

医学のうんちく/HPVについて

がん化しやすい型も

 がん化との関連で分類すると、潜伏感染になりやすく、がん化しない「低リスク型」と、持続的に感染しやすく、がん化しやすい「高リスク型」に分けられます。
 HPVが関連するがんとしては子宮頸がんが有名ですが、これ以外にも中咽頭がん、肛門がん、陰茎がん、膣がん、外陰がんがあります。 

中咽頭がんの原因

 このうち中咽頭がんは口腔性交(オーラルセックス)が原因と指摘されています。米国ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームの2021年の調査でも、口腔性交のパートナーが10人以上いる人と10人未満の人とでは発症リスクは4.3倍の開きがありました。
 また初回口腔性交が18歳未満で1.8倍、1年当たり5回以上の頻度で2.8倍の発症リスクがありました。

ワクチンは新規感染予防

 感染したHPVを根絶する治療はありませんが、十分な睡眠、休息や栄養補給などにより免疫力の低下を防ぐことでウイルスの増殖を抑えることは可能です。反対に喫煙は増殖させる要因となります。
 HPVワクチンは、新規感染や一部のがんを含むHPV 関連疾患の予防用に米国疾病予防管理センター(CDC)で推奨されています。HPVワクチンは新規感染に対して高い防御効果を示しますが、HPV感染や関連疾患を治療しません。


医学のうんちく/HPVについて
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山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。