急増する空き家

2018年7月13日
 少子高齢化などを背景に、住む人がいない「空き家」が全国で増え続けています。「15年後には3戸に1戸が空き家になる」という予測もあり、国や地方は対策に大わらわ。このあたりの事情を探ってみました。
急増する空き家

空き家率は13・5%

 総務省が5年ごとにまとめている住宅・土地統計調査によれば、2013年の全国の空き家率は13・5%で、1988年の9・4%から4・1ポイント上昇しています。高度経済成長が続いた1960年代の空き家率は3%台だったとされ、事態の深刻さが伺えますよね。

山形は10・7%

 山形でも同様の傾向がみられます。13年は10・7%と宮城(9・4%)、沖縄(10・4%)と全国3番目の低さですが、それでも88年の5・3%から5・4ポイント上昇しています。

急増する空き家

背景に少子高齢化

 空き家が増えている直接の原因は少子高齢化に伴う世帯数の減少です。子どもが大きくなって独立し、高齢者だけの家が増えてますよね。その高齢者が施設に入ると家に住む人がいなくなります。子どもが家を相続しても、遠隔地に住んでいたりして管理できないケースが多いのだとか。

急増する空き家

住宅の大量供給も

 人口が減っているにも関わらず、新築住宅が大量に供給され続けてきたことにも空き家問題の原因はあったようです。日本人は新築志向が強いうえ、国は景気対策の面から長らく住宅建設を後押ししていました。家を新築すれば家具や家電などの売れ行きも伸びますものね。

7/13空き家

15年後は約3割に

 こうした様々な要因が絡み合い、空き家が増え続けているというわけですね。野村総合研究所が6月に発表した予測によれば、有効な対策が講じられなければ現在13・5%の空き家率が33年には27・3%まで上昇するそうです。  となると、ほぼ3戸に1戸が空き家ということになり、自分の家の両隣はどちらかが空き家ということになります

倒壊の危険性

 では、空き家が増えるとどんな影響が出るのでしょう。  すぐにイメージできるのは雑草などが伸び放題になり、家屋が朽ち果てていきます。次第に幽霊屋敷のようになって周囲の景観を損ねるという問題が出てきます。朽ち果てた家屋は倒壊の恐れもあり、周囲は危険にさらされます。

急増する空き家

犯罪の温床にも

 野良イヌや野良ネコが住み着くケースもあるでしょう。動物ならまだしも、不審者が出入りして犯罪の温床になることも考えられます。
 それを〝証明〟したのが4月、四国の刑務所から受刑者が脱走した事件。受刑者は空き家を転々としていたとされ、このことが逮捕を遅らせる原因になりました。

増える「管理条例」

 国や地方も手をこまぬいてばかりではないようです。空き家の所有者に維持管理を義務付け、応じない場合は撤去も辞さないという「管理条例」を定める自治体が増えています。山形でも12年に県が策定を呼びかけ、35市町村のうち28市町村が制定済みだそうです。

特措法、15年施行

 国レベルでは15年に「空き家対策特別措置法」が施行されました。これにより、市町村が倒壊などの恐れがある「特定空き家」に立ち入り検査し、撤去や修繕を段階的に助言・指導、勧告、命令できるようになったほか、行政代執行により強制撤去する権限も認めれました。

急増する空き家

県内で強制撤去も

 県内では21市町村が同法に基づく「対策計画」を策定しています。県内でこれまでに助言・指導の対象になったのは343件、勧告3件、命令2件。強制撤去されたのは2件で、ともに川西町の特定空き家でした。ちなみに解体にかかった費用は所有者に請求するそうです。

中古住宅として活用

 ただ、こうした法律や条令だけでは問題の解決にはならないのだとか。空き家の存在を否定するばかりでなく、積極的に利活用することも必要だというのです。
 そのためにも中古住宅の流通市場の拡大が求められています。日本人の新築志向が強いのは先に紹介しましたが、実際、新築と中古を合わせた住宅流通の中で中古の割合は13%ほど。これが欧米だと80~90%に達するそうで、日本人の志向が欧米に近づけば空き家問題は少しは改善されそうなんですって。

求められる流通整備

 なので、リフォーム費用も盛り込んだ中古住宅向けローンの拡充や、第三者が建物のヒビ割れや雨漏りなどを調べる「住宅診断(インスペクション)」の普及がこれから重要になって来るそうです。