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相続の基礎知識

相続の基礎知識/(41)遺産分割の流れ

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 今回は遺産分割の流れや手続きについて簡単にご説明しましょう。

遺言と法定相続

 遺産相続は原則として被相続人(亡くなった人)の遺言で相続人の取り分が決まり、遺言がない場合は民法が定める割合で取り分が決まります。後者の場合の取り分を法定相続分といいます。
 ただ日本では遺言が普及しているとはいえないのが実情で、法定相続分で相続が行われるのが一般的になっています。

指定分割と協議分割

 いざ遺産分割をするに当たり、遺言がなく、遺言による「指定分割」が行われない場合は共同相続人の協議が必要です。協議は共同相続人全員が参加したうえ、全員の同意があって初めて成立します。これを「協議分割」といいます。
 協議分割は必ずしも法定相続分に従う必要はありません。極端に言えば、全員の同意があれば特定の相続人の取り分をゼロにすることも可能です。

調停分割

 協議分割がまとまらない場合には、各共同相続人は家庭裁判所に対して「調停分割」を請求することができます。
 家裁では各相続人の言い分を聴いたうえで客観的で妥当と思える分割案について議論されます。ただ強制力はないため、1人でも不同意者がいれば調停分割は不成立となります。

審判分割

 調停分割が不成立となった場合は「審判分割」に移行します。審判分割は強制力を伴い、不同意者がいても成立します。
 ただ「どうしても納得できない」という場合は、審判の告知を受けた日から2週間以内に高等裁判所に即時抗告の申し立てを行うことができます。
             
 相続が発生し、その後の手続きをどうしたら良いか分からないという方は専門家に相談されることをお勧めします。

遠藤直樹法律事務所 弁護士

遠藤 直樹(えんどう なおき)

1985年(昭和60年)山形市生まれ。2014年に司法修習修了。趣味は釣り。山形県弁護士会所属。

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