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セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》第173回 滝不動(上山市)

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 不動明王は大日如来の化身とされ、古くから炎を背負い刀剣を持つ姿で崇拝されてきた。その峻厳な性格からか、水が激しく動く滝に関連して祀られていることが多く、修験者が関連する多くの滝には不動尊がある。

《セピア色の風景帖》第173回 滝不動(上山市)

 宮城県側ではあるが蔵王の「不動の滝」は規模も大きく、エコーラインの途中にあるということもあって知る人も多い。ほかにも山形市上宝沢の「不動滝」、上山家の「深沢不動」などがあり、滝と不動明王の関連性は強い。

 上山の「滝不動」は信仰とは別に、心霊スポットとして全国的にも有名である。以前から立ち入った人には災いがあるとして妙な噂はささやかれていたが、ネット社会になって噂は加速したようだ。有名な怪談師の話にも上山滝不動はしばしば登場する。
 筆者はオカルト的なものはあまり信じない方だが、それでも過去に一度だけ現地を訪れたことがある。滝は小規模ではあったが、妖気漂う刀剣が何本か奉納してあったのが印象深い。

 つい最近、しばらくぶりに近くを通りかかってみたところ、何と鳥居も石碑も取り外され、立ち入り禁止になっていた。
 いくら変な噂があろうと信仰の場が撤去された例などを他に知らない。噂の方が怖いのではないかと思い知った。(F)

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