セピア色の風景帖
《セピア色の風景帖》第196回 旧新庄駅 閉鎖式(新庄市)
1999年に山形新幹線が新庄市まで延伸されるのに先立ち、新庄駅旧駅舎は取り壊されることになった。
奥羽本線の福島駅―新庄駅間の軌間(線路幅)は狭軌(1067ミリメートル)から標準軌(1435ミリメートル)に改軌され、工事期間中は代行バスが運行をカバーしていた。

旧駅舎は61年から99年9月まで使われていたが、10月には駅舎とのお別れの式が行われ、別れを惜しむ大勢の人々が訪れた。
駅舎から駅名表示がクレーンで外され、市長や駅長の挨拶の後、大時計などの駅の備品や列車の行き先表示板、急行列車のヘッドマークなど、鉄道愛好者の喜びそうな物品の放出が行われた。
新庄駅は東北を縦横に結ぶ鉄道の交差点として古くから要衝とされ、往時は駅弁が非常に多く売れる駅として有名でもあった。ここを起点に宮城、秋田、庄内へと向かう乗り換えや待機の際には、駅弁売りの声がホームに響き渡っていたものである。
その後、多額の費用を投じて洒脱な新駅舎や、隣接する最上広域交流センター「ゆめりあ」が完成し、新幹線の乗り入れが始まった。
だが、この際の借財が後々、市の財政を大きく圧迫する要因となり、街の発展に逆行してしまったのは皮肉である。(F)