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相続の基礎知識

相続の基礎知識/(75)動物は「相続財産」

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 昨今のペットブームで、約3割の世帯が犬や猫などの動物を飼っているといわれます。

 「相続のコラムでペットの話?」と思われた方も多いと思いますが、実はペットは税法上、残念ながら「家族の一員」ではなく「物」。そこで今回は、相続税法における動物の取り扱いについてお話しします。

動物も課税対象に

 まず相続税法において動物は「相続人」にはなれません。飼い主が亡くなってしまったペットは、飼い主が所有していた家や預貯金、骨董品などと同じように、「相続財産(動産)」として扱われます。

 ということは、その金額や価値によっては、相続税の課税対象となる可能性があるということ。例えば次のようなケースは、その動物に「財産的な価値がある」とされ、相続財産に計上する必要があります。

◆競走馬や種牡馬(しゅぼば)・種牝馬(しゅひんば)
…血統や実績に基づき高額で取引されるもの。

◆観賞魚や珍しい爬虫類
…希少性や品種により高値で取引されるもの。

◆繁殖用の高価な血統の犬猫
…ブリーダーなどが所有し市場価値が高いもの。

 しかし、一般的なご家庭のペットは市場で取引されることを目的としていないため、財産的価値はなく、相続税の課税対象とはならないケースがほとんどです。

動物の評価方法

 さて、動物の相続税評価は、原則として「売買実例価額」や「精通者(せいつうしゃ)意見価格」、つまり、市場で取引される場合の価額(時価)によって行われます。

 競走馬などは過去の取引事例、血統、成績などを総合的に勘案して評価され、専門の評価機関や鑑定士の意見が必要になる場合もあるでしょう。財産価値が想定される動物の相続には、税理士などの専門家への確認をお勧めします。

鈴木僚税理士事務所 税理士

鈴木 僚(すずき りょう)

1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。

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