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セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》第194回 かみのやま全国かかし祭(上山市)

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 少し前まで仕事で上山市と縁があったことがあり、地元を盛り上げるイベント「かみのやま温泉全国かかし祭」がなくなってしまったことが惜しまれる。

 この祭りは1971年、それまで上山農業高の実習田で行われていた学園祭のかかしコンクールを引き継いだもので、世相を反映した独特のかかしが数多く展示され、全国から大勢の観光客を集めた。

 その様子は毎年あらゆるマスコミで報道され、全国に「かかし祭り」を広める影響を与えたという。かかしは市のシンボルマークのモチーフになり、案内標識やマンホールなどに採用されて市民生活に根付いている。

 会場は観光客を意識して上山城に近い月岡公園を使ったり、市役所隣の市民公園に移動したりしながら秋の恒例イベントとして親しまれた。

 会場で流れる「かかし音頭」の歌い手は三波春夫、作詞は「細うで繁盛記」で知られる作家の花登筐(はなとこばこ)で、2人は祭りの趣旨に賛同して破格値で引き受けてくれたという。

 しかし、コロナ禍では休止となり、2023年の代替事業の開催を最後に50余年にわたる歴史に幕を下ろした。最盛期には600体を数えた出品数も近年は2ケタまで落ち込み、その役割を終えたと判断されたようだ。

 市はカセ鳥と並ぶ大きな看板イベントをやめてしまった。(F)

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