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相続の基礎知識

相続の基礎知識/(72)暗号資産の相続

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 暗号資産の保有者が増加するにつれ、その相続に関する税務上の問題が注目されています。暗号資産を相続した場合と、相続後に売却した場合の税金について解説しましょう。

評価額は取引所の終値

 暗号資産も現金や不動産と同様に相続財産と見なされ、相続税の課税対象になります。相続税を計算する際の評価額は、被相続人が亡くなった時点の時価です。暗号資産は価格変動が激しいため、評価日における取引所の終値などを参考にするのが一般的です。

 上場株式等の場合は亡くなる日の前3カ月間の平均の時価で低い価格を選択できますが、暗号資産には適用されませんのでご注意ください。

正確な把握が必要

 相続税の申告には、暗号資産の種類、数量などを正確に把握し、証明できる資料をそろえる必要があります。暗号資産がある口座のアクセス情報やパスワードなど、重要な情報を事前に整理しておくことが大切です。

 万が一、これらの情報が見つからず、暗号資産の詳細が不明でも、その分の相続税の申告、納税を免れることはできません。

「見える化」が大切

 暗号資産や電子マネーといった「デジタル資産」は、持っている人(被相続人)がきちんと整理してこそ、はじめて「財産」としての意味を持ちます。

 遺言書やエンディングノートなどで「見える化」しておくことが大切だと思われます。

所得税や住民税も

 暗号資産を相続後に売却して利益(売却額から被相続人が取得した価格を引いた金額)が出た場合には今度は所得税、住民税が課税されます。

 被相続人が当初安価な価格で購入していた場合は利益が大きくなり、それは雑所得として給与所得など他の所得と合算して総合課税の対象、つまり税率は所得税、住民税を合わせて最高で55%になります。

鈴木僚税理士事務所 税理士

鈴木 僚(すずき りょう)

1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。

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